テキストエディタでプレゼンテーションを作る
文字主体のプレゼンテーションを作るときに、パワーポイントはわざわざ使うまでもない。 なにより、おおまかなプランをエディタで作ってしまったときには、それをいちいちパワーポイントにコピペするのはかなりめんどうだ。
パワポのめんどうさ
メモからページ単位で貼り付けないといけない
思考は階層が自然
パワーポイントで資料を作っていて、一番困るのが、セクションという大まかな区切りしかないことだ。 短時間のプレゼンならそれでもよい。
例えば、30分のプレゼンで3つの話題なら、セクションを3つ作ればいい。
90分の講義だとどうだろう?
僕は90分の講義を、イントロ、トピック3つ、振り返りの5つに分けている。
トピックが3つだと、それを一つのセクションだけではちょっとわかりにくい。 各トピックの中にサブ項目がいくつかあって、それぞれにスライドがある。 それをそれぞれ下の階層にできれば、把握が容易だ。
これ、単発のプレゼンならそんなに困らない。単発なら普通何を話すか覚えてるからね。 でも前任者が作ったスライドとか、去年の自分が作った講義のスライドとかだとどうだろう? もうどこに何があるか探すのが大変だ。
こんなときに、スライドというか資料が階層化してみえるようになっていれば、すぐに把握できる。
考えるときも、講義は15回ある。一つの講義には、イントロ、トピック3つ、振り返りがある。各トピックは、事例と定義、定義の解説、あてはめがそれぞれある。という感じで階層的に考えるのが普通だ。
プレゼン作成のワークフロー
プラン:エディタに箇条書き
プレゼンの方法を解説した本を見てみよう。
いきなりパワーポイントを起動せよ、と書かれている本はまずない。 (あればそれは釣りだ)
まずはなんらかのツールで構想を練る。
僕はこの段階で、付箋とペンを使うのが好みだ。付箋に見出しを書いて、大きな紙に貼っていく。必要に応じて並べ替える。
ただ、これをやるよりも、アウトラインを編集できるエディタを使うほうが楽なときもある。 特に、PCに向かって仕事をしているときに、紙とペンに持ち変えるのがめんどうだったりする。
またさっきまでやってた構成になにか付け加えたくなったときも、その紙を探すのがめんどうで、そのまま忘れることもある。
PCで完結できるなら、それに越したことはないのかもしれない。
パワポでこれをやるばあいは、新しいスライドに本文を書かずにタイトル行だけを埋めて、どんどんスライドを増やしていく。
構成:エディタでレベルを変えていく
ある程度コンテンツの見出しを追加したら、構成を作っていく
紙を使っているなら、納得行くまで付箋を並べ替える。足りないものがあれば、足していく。
これいらないな?と思えば、横に置いておく。(意外と後で欲しくなることがあるから)
この段階をパワポでやるなら、シートが20枚ぐらいまでがいい。シート一覧を表示しながら、ドラッグ・ドロップで順序を変えていく。 複数のシートを選択するときは、ShiftかCTRL押しながらだ。(ShiftとCTRLの使い方は覚えたほうがいい)
いちおうセクションごとに表示されるので、枚数が少ないならこれはけっこう便利な機能だ。
各セクションの中身が込み入ってくると、もう少し機能が欲しくなる。例えば、セクションを数レベル追加できても良いと思うのだが。
いずれにしても、紙と比較すると、並べ替えるのは簡単だ。けれども、紙の追加とか、ちょっとした表現の修正はいちいち各ページの画面に戻らないとできない
エディタが紙よりもパワーポイントよりも便利だなと思うのは、この段階になってからだ。
エディタなら決められたルールに従って、見出しレベルを設定していけば簡単に階層付きの文書を作れる。
emacsでorg-modeを使っているなら、Altを押しながら上下左右カーソルで見出しを移動できる。 Alt+左右でレベルを変えられるし、Alt+上下で見出し(とその内容)の順番を変えられる。
Alt+上下で見出しと内容をまるごと変えられるのは、実はかなり便利だ。 この機能では、見出しとその下のレベルにある見出し・テキストをまるごと移動できる。 パワーポイントならセクションまるごと移動的な感じだ。
例えば、こんなアウトラインを作ったとする。真ん中あたりにある「イベントをする」を移動したければ、そこにカーソルを合わせて、Alt+上下右左でよい。
ここで納得行くまで構成を考えたら、いよいよ中身を書いていく。
フェアトレード 知名度の向上 SNSを活用する 自分で発信する 誰かのSNSに書き込む インフルエンサーが発信 インフルエンサーに発信してもらうためになにができるか 直接連絡してみる インフルエンサーになんらかの支払いをする 彼らの目に触れるようにSNSで発信する イベントをする 上記の4つを評価する 実際にどれが利用されているのか調べる それぞれの効果を評価する 自分で実験してみる 店頭で説明する Webサイトの充実 価格が高い 質を強調する
紙の作業はだいたいここで終わりだ。スケッチブックに各スライドを書いていっても良いけど、僕はそれはやってない。
パワーポイントなら、むしろここから便利さが見えてくる。
下書き:メモをどんどん書き込む
構成ができたら、下書きだ。下書き段階では、そのスライドで伝えたいこと、演出の工夫なども併せて書いていく。
具体的に表示されるコンテンツは書いても書かなくてもいい。
さて、パワーポイントでのコンテンツの作り方は、みなさん知っているはずだ。ノート欄にいろいろメモを書くと画面に表示されないので便利だ。もう一つだけ。非表示スライドを活用するといろいろ便利。
僕はタブレットとペンを使って、各スライドのイメージを描き込んだりもする。
エディタのばあいには、見出しの中に本文としてスライドのコンテンツを作る。
箇条書きは、- (ハイフン)ではじまったりするので、書式を覚えておくと良い。
スピーカーノートもそれぞれの書式があるので、そちらを参照すること。
また、テキストのばあい、コメント的にメモを残すこともできる。
markdownのばあいには、sectionタグ内でasideタグを使う。
<aside class="notes"> カンペ </aside> (出所:「reveal.jsでパワポ要らずのスライド作り - 屋根裏」、https://yurkth.hateblo.jp/entry/revealjs-slide )
org-modeなら、#+BEGIN_notesと#+END_notesで囲む。
このスライドを表示しているときに、あの話をすること!!!
画像も適宜作成しながら追加していく。
作成:プレゼンテーションソフトに移行
ある程度下書きができたら、本番スライドを作っていく。ここでもざっと作って、作り込むようにすると、早めに全体像がみえる。おまけに、途中で力尽きても、一応最後まで表示できるものがある。
だいたい時間配分としては、ここで5、作り込みで5という感じだ。
メモを見ながら、キーワードや箇条書き、図表などを一枚ずつ作っていく。
図表は、draw.ioなどを活用して進めていく。
作り込む:表示を見ながら微調整
作り込みの段階では、表示のズレやアニメーションの調整などをしていく。
また、ここでリハ的に軽く話してみると、順序の変なところや、わかりにくい表現も見えてくる。
Reveal.jsという選択肢
エディタでそのままプレゼン資料を作る
パワポ以外でプレゼンを作る方法
エディタを使いこなそう
ox-re-revealを使い込む
気に入ったテーマを使う
細かい表現はhtmlを使う
目次を出す
YASnippetがないと無理!
org-modeかmarkdownか
表現の自由度とかlatexとの親和性を考えると、org-modeの方が制約が少ない。
エディタの自由度を考えるとmarkdown。
普通の人は、どっちでもいいよね。
僕は両方使ってる。
文芸的プログラミングを実践するなら断然org-modeがいい。 今はまだそこまでやれてないから、ほんと、どっちでもいい。
ついでに、スケジュール管理とかプロジェクト管理はorg-mode一択。 agendaを調べてみるといい。